M&Aコンサルティング会社・マッチングサイト比較

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1 承継相手を探す

後継者が社内にいない場合には、取引先など身近で関心を持つ相手に打診するなどの手段が昔から行われてきました。一方で身近の相手には返って承継の相談はしにくい、あるいは期待出来ないというケースも少なくありません。
後者のケースを中心として第三者へのM&Aが次第に盛んになり、現在ではM&Aに対するハードルも下がったように思われます。

●第三者とM&Aに関する接点を持つ手段としては、以下のケースが考えられます。

1.マッチングサイト
2.M&Aコンサルティング会社に依頼
3.買い手希望者からのオファー

2 マッチングサイト

●M&Aマッチングサイトとは

インターネット上において、M&Aの相手を探すために、売り手希望と買い手希望のそれぞれが登録ないしコンタクトをとることによってマッチングをはかるサイトのことをいいます。

●M&Aマッチングサイトを利用することにより以下のようなメリットがあります。

  • M&Aを検討していることを身近に相談することを躊躇しているケースでも、M&Aの相手を探すことが可能
  • 上場会社も含めたM&Aに関心ある会社が登録しているため、通常では知り合うことが難しい相手とマッチングすることも可能

●M&Aマッチングサイトを利用するうえでの留意点とは

・インターネット上において不特定多数の目にふれる可能性があることから、どの程度まで情報を開示すべきかという点には気をつけたいところです。一方で買い手候補者から関心を持ってもらうためには一定程度の情報を開示するべきですので、情報を開示する加減が重要です。

・売り手側に対しては利用手数料を無料にするサイトも増えてきており、M&Aをすすめるうえでのアドバイスも無料で行うサイトも出てきています。一方で公平で有益なアドバイスを受けることが出来るか否かは個々に留意する必要があるといえます。

●タイプ別紹介

1.TRANBI(匿名登録型)

事業承継・M&Aプラットフォーム TRANBI【トランビ】

M&Aのマッチングサイトとしては比較的歴史のあるサイトである。
売り手希望者または買い手希望者はサイトに実名を伏せて情報を登録し、その情報に関心を持った相手方と当初は匿名にてコンタクトをとることが出来るサービスを提供している。売り手希望者は基本的に無料で利用できる。

2.M&Aクラウド(実名コンタクト型)

M&Aクラウド | 買い手や投資家に会えるプラットフォーム (macloud.jp)

M&Aの買い手希望企業が実名で登録し、売り手希望者はそのサイトから直接買い手希望企業の担当者にコンタクトをとることが出来るサービスを提供している。
売り手希望者は基本的に無料で利用できる。

3.事業承継総合センター(提携会社紹介型)

リクルートが提供するM&A・事業承継総合センター (rbsp.jp)

リクルートが運営しているサイトである。
提携している仲介会社と連携してM&Aの相手を探すサービスを提供している。
売り手希望者はサイトには利用料を支払う必要はないが、サイトと連携している仲介会社に報酬を支払う必要がある(支払うタイミングや金額は仲介会社によって違いがある)。

3 M&Aコンサルティング会社

●M&Aコンサルティング会社はどのような業務をするのか

M&Aコンサルティング会社といっても実際に行う業務はそれぞれ違います。

代表的な業務は
・買い手候補企業の紹介
・買い手希望企業との連絡
・売却金額に関するアドバイス
・買い手希望企業とのスケジュール調整
などがあげられます。

●中小企業オーナーがM&Aコンサルティング会社に依頼するうえでの留意点とは

M&Aの相手を見つけてきてもらえるかどうかというポイントは大きいものの、それが良い相手かどうかが重要であり、そのために気をつけておきたい点は以下の通りです。

売り手側のために寄り添ってもらえるかどうか

M&A成立だけを急いで急かすような担当者の場合、本当に良い相手なのかどうか見定める余裕が持てないケースもある。

経験値

実績も大切ですが、数が多ければよいというわけではない。
むしろ経験年数の長さは、一件一件異なると思われるM&Aにおける様々なケースでの対処をしてきており、引き出しも多いと予測できるし、長い経験年数を有している担当者は実績もそれなりにあげなくては生き残っていけないとも思われる。

秘密保持

M&Aのやり取りには、会社にとって重要な内部情報を開示する必要が出てくることから、その内部情報を目的以外に利用しないという秘密保持契約(NDAなどとも呼ばれる)を丁寧に交わす姿勢があるかどうかも留意したい点である。

●仲介タイプとアドバイザリータイプ

日本におけるM&Aコンサルティング会社には、いわゆる仲介タイプとアドバイザリータイプがあります。

仲介タイプ

売り手と買い手の双方から報酬を受け取る。

アドバイザリータイプ

売り手か買い手のどちらか一方のアドバイザーとして片方からのみ報酬を受け取る。

仲介タイプの場合には、利害が対立する売り手と買い手の双方から報酬を受け取るのは「利害相反」に当たるとして問題があると指摘されることがあります。実際に海外では仲介タイプのM&Aコンサルティング会社はほとんどいないとも聞きます。日本においては法律において禁止されていないこともあり、仲介タイプのM&Aコンサルティング会社も多数存在しています。

●タイプ別紹介

1.ストライク(仲介会社)

M&A仲介とM&A市場SMART運営のストライク (strike.co.jp)

M&Aコンサルティング会社の中では比較的歴史のある会社である。
M&Aのマッチングサイトの運営もかなり以前より行っている。

2.MACアドバイザリー(専門特化)

薬局M&Aに専門特化の信頼 | MACアドバイザリー | (mac-advisory.jp)

薬局に専門特化したM&Aコンサルティング会社である。
直営薬局も運営しており、薬局ビジネスについての専門性は高い。

3.M&Aコンサルティング(アドバイザリー会社)

株式会社M&Aコンサルティング ~経験豊富なプロフェッショナルがM&Aの全てをサポート (ma-consulting-japan.com)

代表は公認会計士であり、仲介は行わないM&Aのアドバイザリー会社である。
買い手側のアドバイザリーのケースでは、要望に応じてM&A成立後にも統合支援をするケースもある。
売り手側のアドバイザリーのケースでは、長期的に売却までの計画および実行支援を行うケースもある。

4 買い手希望者からのオファー

買い手希望者から直接あるいはコンサルティング会社を介してオファーを受けるケースも増えていると思います。
その場合に何をどのように考えて進めていけば良いのか?(このサイトをご覧いただいているように)ご自身でM&Aについて勉強されることはもちろんのことですが、やはり専門的過ぎるため、独学で一生に一度の決断を行うのは気が引けるものです。

●誰を頼ればよいのか

このようなケースで相談相手として考えられるのは以下になります。仮に相談するとしても頼り切りではなく、以下の点に気をつけながら相談したほうがベターといえます。

1.M&Aコンサルティング会社

M&Aコンサルティング会社に相談することも可能ですが、取引相手はすでに決まっているケースであっても、取引相手を探すところから依頼するケースと同様の成功報酬が必要と言われるなど多額の報酬がかかる場合もあるようです。
一方で時間単位制での相談に応じてもらえるM&Aコンサルティング会社もありますので、そのような会社に頼むことも有益です。

2.税理士

M&Aに関係する税務面での相談はもちろんですが、税理士の中にはM&Aコンサルティングの研修を受けている方も出てきていますのでM&Aの進め方など全般の相談にのってもらえるケースも考えられます。一方で専門家ではありませんので、手に負えなくなるケースや保守的過ぎる意見で現実的なアドバイスをもらえないケースにも留意する必要があります。

3.弁護士

契約書など法務面での相談はもちろんですが、代理人として交渉そのものの相談にのる方もいます。
やはりこちらも経営やM&Aに関しては専門家ではない方も多いため、留意する必要はあります。

●セカンドオピニオン

コンサルティング会社を介してオファーを受けた場合に、別のM&Aコンサルティング会社に契約の妥当性やアドバイスの妥当性などについて意見を求めることをセカンドオピニオンと呼びます。
買い手希望者のオファーを伝えに来たコンサルティング会社との間で契約を締結する際には、他のM&Aコンサルティング会社への依頼を禁止されること(専任条項)があります。
専任条項については、令和2年3月に中小企業庁から策定された「中小企業M&Aガイドライン」において、情報の拡散を防ぐ目的など一定の合理性が認められるものの、コンサルティング会社からのアドバイスの妥当性に疑義を感じた場合にまで、その妥当性を他のM&Aコンサルティング会社に相談することを禁じるべきではないと言われています。

「中小M&Aガイドライン」を策定しました (METI/経済産業省)